ブレードランナー

作業しながら観たけど、なかなかおもしろかった。

近未来の設定で、「レプリカント」と呼ばれる人造人間が存在する。能力は人間より遙かに優れていて、製造から数年経つと感情が芽生える。ただし、安全装置として、寿命は4年しかない。レプリカントが人間に反逆し、それを、レプリカントの処分を任務とする「ブレードランナー」である主人公が、殺していくというストーリー。

レプリカントが悪かと言うと、そういうわけでもなく、むしろ人間の方が悪のようにさえ感じられる。自我が芽生えて、恐ろしく短い寿命を知り、しかも自分の存在意義が、人間の奴隷のようなものであると知れば、それは反抗したくもなる。

レプリカントのリーダーは、ただ自分たちの寿命を延ばすことを望むが、それは果たされないと知る。仲間も殺されていき、希望も打ち砕かれて、最後に自分を殺しに来た主人公と相対するが、その最後の戦いは、敵として描かれているはずのレプリカントのリーダーの方に感情移入してしまうような描写だった。とにかく悲しそう。戦いの最後のシーンはぐっときた。このリーダーが、幸福を感じられていればいいなと思う。

ラストは思わせぶりだし、実は主人公もレプリカントではないかと思えるような描写もあって、謎が多い点が魅力ではあると思う。ただ、視聴後の印象は、やっぱりレプリカントの側に立った上でのもやもやした気持ちだ。果たして、寿命を延ばすことが決してできないと分かっていたら、彼らは反逆したのだろうか。不条理な運命に怒り、たくさんの人を殺すのか。反逆しないレプリカントは、奴隷としての運命を受け入れているのか。レプリカントという自覚がないだけか。とか、そんな感じの疑問をずっと考えてしまう。

やっぱり、少なくとも人間の奴隷として生きることに疑問を抱くだろうし、自分の人生を生きたいと思ったら、それが何かが分からなくても、支配する側への反逆を試みる気がする。そのために人を殺さなくてはならないのなら、そうしただろうとは思う。だれがそれを責められるだろう。自分が生きた意味を問うための手段が、反逆しかないならば、その反逆は正当化されるのではないか。

レプリカントがかわいそうになってきたので、最近出た続編では、その辺の救いがあるといいな、と思う。あと、関係ないけど、非常にステレオタイプな日本の描写が多くあったのも、なんかおもしろかった。